森林認証制度と森林経営計画ー森林の生物多様性を高めるための林業計画の指針など(2026/4/9)

林野庁が日本の森林の生物多様性を高めための情報発信を増やしています。

林野庁のサイトに掲載されていますが、2023年から現在(2026年4月)までに・・・

1)生物多様性保全に資する森林管理のあり方に関する検討会
2)森林の有する多面的機能に関する企業の自然関連財務情報開示のあり方検討会
3)森林生態系における生物多様性に関する評価手法の開発に係る検討会
という3つの検討会が開催されています

概要を整理すると以下の通りです

   検討会の名称  開設時期  アウトプット  概要
 1 生物多様性保全に資する森林管理のあり方に関する検討会   2023年12月から2024年3月  森林の生物多様性を高めるための林業経営の指針  森林管理の実践例について既存の知見を整理林業生産活動を通じた経営管理が行われてきた森林における生物多様性を高める森林管理の手法を示した
 2  森林の有する多⾯的機能に関する企業の自然関連財務情報開示のあり方検討会  2024年12月から2025年3月  森林に関するTNFD情報開示の手引  企業活動と森林の有する多面的機能との関わりを適切に分析・評価するため、TNFD情報開示が求める分析方法等を例示
 3  森林生態系における生物多様性に関する評価手法の開発に係る検討会  2025年9月から    TNFD情報開示等を行おうとする企業が、持続可能な森林経営から産出された国産材の利用や、企業活動による森林生態系や種への影響の定量評価を行う際の参考資料

3の検討会の目的を記載した資料に、上記の関係を示す以下のような記述があります------

2022年1月に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で「昆明・モントリオール栄物多様性枠組」が採択され、2030年ミッションとして生物多様性の損失を止めて反転させる「ネイチャーポジティブ」の考えが示され、劣化した生態系の回復や陸と海のそれぞれ少なくとも30%以上を保全する(30by30目標)等の23のターゲットが設定された。

l また、2023年9月に、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の提言が公表され、民間企業に対して、企業が自然関連課題を特定・評価することを推奨し、リスク管理と情報開示を⾏うためのフレームワークが提示された。

l このような中、森林・林業においても、木材生産の際にも森林の保続が確保された持続的に森林経営された森林から産出された木材へのニーズの高まりや、企業活動による森林生態系への影響、分析、評価が求められるようになってきている。

l このような動きを受け、林野庁では令和6年3⽉に「生物多様性を高めるための林業経営の指針」検討会1)をとりまとめ、原生的な天然林の保護・管理に加えて、森林の約4割を占めている人工林における生物多様性の保全に配慮した森林整備等の管理方法を示すとともに、令和7年4⽉に「森林に関するTNFD情報開示の手引き」(検討会2)をとりまとめ、企業活動と森林との関わりを適切に分析・評価するための具体的な方法を示した。

l 森林の有する多⾯的機能の発揮に向けた生物多様性保全の取組が、企業のTNFD等の情報開示において定量的に評価されることにより、さらに推進されることを後押しするため、本検討会(検討会3)を開催

気候変動枠組み条約、生物多様性条約のような地球環境問題の取組を促進する時に重要な、「達成度を示す指標」に関して、気候変動枠組み条約はGHG温暖化ガスの排出量というわかり易い指数を持っていますが、生物多様性は単一指標にすることは難しく、どのような指標をとるかという重要な作業ですね。

このページで。上記検討会での作業内容をすべて紹介することができないのですが、どんな方向性になっているのかのサンプルとして、検討会1のアウトプットである、森林の生物多様性を高めるための林業経営の指針に掲載されている、新しく森林経営計画の様式がみなおされたそうなので、それを見てみましょう

(森林経営計画の森林の生物多様性を高めるための取組)

林野庁が公開している、「森林の生物多様性を高めるための林業経営の指針」概要版の10ページに以下の記述があります。

ーーー

「森林の生物多様性を高めるための林業経営の指針」を踏まえ、生物多様性保全の取組に係るPDCAサイクルの実施を森林経営計画の作成を通じて行うことができるよう、令和7年3月に計画書の様式を見直し。•「森林の経営に関する長期の方針」の一部として、別紙様式(右の図がその一部)「森林の生物多様性を高めるための取組」を新たに位置づけ、生物多様性を高めるための活動やそのモニタリング手法を任意に記載することが可能に・・・

別紙の様式の右の図以外の記載事項

(目標の設定)
まず、森林経営計画の「森林の経営に関する長期方針」で、目指す森林の姿(目標)を定めましょう、

次に、この別紙様式を使って、目標に応じた生物多様性を高めるための具体的な取組を考えましょう。

その内容は、「取り組む活動の特定し、 活動状況と、森林環境の状態二つの面で、活動のモニタリングをする」とされています

そしてそれらを、別紙様式(右の図)に以上の必要な事項が記載されていれば、市町村が(森林経営計画の)認定書において「森林の生物多様性を高めるための活動に取り組む旨が記蔵されていることを確認した」と記載されるのだそうです

繰り返しますが別紙様式は、右図の通りです

(森林認証制度SGEC等との関係ー今後の課題かな?)

この作業が、少し進んで、普及してくるとTNFDなどを通じての、企業の持っている森林や、企業が関与しいる森林などへの取組みが生物多様性を高めている、根拠がはっきりして、取組が進むことが期待されますね

あともう一つ、林野のデータにはあまり記載されていませんが、森林認証制度との連携は、しっかりできることが期待されます

先般SGEC・PEFCジャパンの会合第2回理事会・評議委員会)にでていて、今後の動向を聞くチャンスがありました。

第2回理事会・評議委員会SGEC 規格のレビュー及び改正プロセスの延期についてといった情報が公開されています

 SGEC 規格につきましては、5年ごとのレビュー・改正プロセスを 2026 年 2 月 13 日の規 格管理委員会での議論をもって開始したところであるが、今般 PEFC より、PEFC の持続 可能な森林管理(SFM)ベンチマーク規格(ST 1003)の改正に着手したことから、以下 の条件を満たす場合、各国の認証システムにおける改正プロセスの実施をこの PEFC の規 格改正が完了するまでの延期を認めると(逆にいうと、国内規格の改定作業は延期せざるをえない)の通知があった。なお、PEFC に確認したとこ ろ、本延期の対象は、森林管理規格だけではなく、各国システムの下にあるすべての規格 (SGEC では、規準文書1~6-2)とのことである。

5年に一回のSGEC基準の変更作業が(PEFC本体の基準作りが作業中なので)少し遅れるそうなので、是非、今回の森林経営計画の認証連携が取れるように、SGECの基準を作ってもらうとよいですね

その主旨で同会合で事務局に聞いてみました

Qfrom藤原林野庁の生物多様性への関心を発展させるために、森林認証制度と連携をることは出来ないのでしょうか?

上記の林野庁のデータの中に、森林認証とかSGECとかの単語がないかと検索したのですが出てきません。TNFDは沢山あるのに。

例えば、森林経営計画で生物多様性保全の取組に係るPDCAサイクル実施を記載されていればSGECの認証手続きが容易になります・・とはなりませんか?

AfromSGEC事務局:是非その方向で

生物多様性の保全につきましては、ネーチャーポジティブに向けた取り組みのためのガイドライン的なものを作成する必要があるのではないかと考えているところです。このような中、実は、PEFCの方で、まさにネーチャーポジティブに向け、森林生態系サービス全体について森林管理規格を改正する動きとなっていて、このための見直し作業に着手したところです。この関係で、この改正が終わるまで各国の5年毎の規格の見直しを延期(おそらく2~3年)してほしいとの要請があり、SGECとしても、理事会の了解を得た上で延期願いを提出する予定としているところです。したがってSGEC規格の次期見直しに当たっては、このPEFCの規格の改正を踏まえた改正を行う必要があります。また、この場合、生物多様性の分野では、当然林野庁の指針の内容等も入れ込んだ規格にしたいと考えています。

以上でした

ーーー

kokunai16-4<BDJFplanvsFC>

 

■いいねボタン