| 今,日本の森林・林業政策として何が求められるか?ー森林林業基本計画策定作業に関連した林業経済学会の特別セッションから(2025/12/10) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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全体像については例年のとおり追ってご報告しますが、全体のプログラムをみて、特別セッション「今、日本の森林・林業政策として何が求められるか?」という興味深いセッションがあったので、情報収集しご報告します。(私が出席した前の日だったので出席できず) 趣旨は大会の掲載ページに記載されている来年の森林林業基本計画改定作業を念頭において、日本の森林・林業政策において望まれる方向性について,現地調査や統計解析等に基づく研究成果を募り,学術面から発信すること。10人の報告者が口頭発表を行っています。 別途全体をフォローしますが、このページでは、冒頭の主催者の立花京都大学教授・林政審会長の趣旨説明、一番案最初のプレゼンター、林野庁森林・林業基本計画検討室長吉川正純氏の報告を中心に紹介します 日本の森林・林業・木材政策の基盤となる、5年に一回の計画策定過程における、官学の連携がどのように発展しているのか?そして、今回の計画の課題はなにか?作業責任者の意見や、市民(勉強部屋の?)期待など・・・ ーーーー ((特別セッションに関する趣旨説明)) イントロを説明された立花さんからプレゼンデータをいただいたので共有します→特別セッションに関する趣旨説明 大切な情報なので、資料の内容をすべて紹介プラス、当方でネット上の情報を加筆します。 (森林・林業基本計画の位置づけーイントロ) 〇森林・林業基本法 ということで、このプロセスは日本の森林ガバナンスにとっても重要な動向ですよ (林業経済学会における森林林業基本計画関連の活動の歴史)
以上立花さんからいただいた、過去の20年にわたる基本計画策定過程の官・学のコミュニケーションの過程、です。ネット上の情報を当方で少しケーションおプレゼン資料を中心に、若干当方でネット上の情報を加筆しました ということで、このセッションのテーマは、来年8月に改定を予定されている次期森林林業基本計画策定に関し、学会内部で議論を発展させようという趣旨であることがわかりました。 内容の分析などをすべきかもしれませんが・・・また今度 ーーーーー 8人の登壇者の報告については、追ってご紹介するのるとこととし、ここでは、第一番目の発表者林野庁担当室長吉川正純さんのプレゼンいただいたので紹介します。(公開してよいですか?とお聞きしたら、すでに林政審などで公開している情報なので「いいですよー」といわれました) 来年の基本計画改定に向けて事務局が検討している現時点での要約版ですー。 ((森林・林業基本計画の変更に関わる情勢と検討の方向性)) 以下の3部構成16ぺージ、 Ⅰ イントロ2枚 (1 現行森林・林業基本計画の概要、2 審議の進め方、日程(案) Ⅱ 背景説明5枚 (3 森林・林業の動向、4 木材産業・需要の動向、 5 森林の多面的機能発揮への期待の高まり、 6環境に配慮した企業経営へのニーズの高まり、 7 災害の態様の変化) Ⅲ 次期計画の内容検討9枚 (8 森林の集積・集約化の推進、9 再造林の推進、 10 林業労働力の確保、 11 木材利用の拡大、12 森林資源の循環利用の推、 13 持続可能な木材生産に向けた対応方向、 14 望ましい林業構造、 15 スマート林業技術を実装した林業の将来像、 16 森林を活用した山村振興) 令和3年6月に閣議決定された現行計画においては、森林を適正に管理し、林業・木材産業の持続性を高めながら成長発展させることで、2050年カーボンニュートラルを見すえた豊かな社会経済を実現することとし、以下の5つの柱の施策に取り組むこととしている。 現行基本計画は、令和3年6月15日に閣議決定されたものであり、令和8年夏頃までに変更することが必要 人工林の6割が50年生超の利用期を迎えており、7年後には8割が利用期を迎える見込み。国産材供給量は着実に増加し、その8割が主伐材。今後、さらに主伐が全国に広がる可能性が高いが、人工造林面積は近年横ばい。
森林は、土砂流出の防止などによる国土の保全機能、水資源の貯留などによる水源の涵養機能、木材やきのこ等の林産物を産出・供給する木材等の生産機能など、国民が安全・安心な生活を送るために必要な多面的機能を有している。
国際的に気候変動、生物多様性に対する関心が高まり、企業に対し自然関連の情報開示を求める動きが拡大。我が国でも、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)によりサステナビリティ開示基準や気候関連開示基準が公表され、法定開示への段階的な適用拡大が進む見通し。 降雨形態の変化などにより被害が激甚化。今後の気候変動を見据え、森林の土砂流出防止機能・洪水緩和機能の維持・向上のための森林整備・治山対策や被害を受けにくい強靱な路網整備を確実に実施することで、引き続き国土強靱化を推進することが重要。 我が国の森林保有構造は、林家数の約9割を保有面積10ha未満が占め、小規模・零細。また、森林所有者の世代交代や不在村化等から、所有者の特定が困難な森林、所有者が引き続き管理をすることが困難な森林が存在。 育林経費のうち7割を占める造林初期費用の低減に向け、一貫作業や低密度植栽等の省力化造林の割合は年々増加。 林業適地における主伐の実施と主伐後の再造林の確保のため、効率的施業森林区域の設定を推進。 林業への新規就業者数は、毎年約3,000人で安定して推移。新規就業者(緑の雇用)の定着率は全産業と比較して高いものの、更なる就業環境の改善 木造率は、低層住宅では8割を占める一方、中高層住宅や非住宅建築物では1割未満と低く、更なる木材利用の拡大が重要。 森林資源の循環利用を推進するためには、川上側では確実な再造林や生物多様性・林地保全に配慮した森林整備、川中側では、丸太の価値を最大化 環境に配慮した企業経営のニーズの高まる中、国産材について、輸入材や他資材との競争力を持ちつつ、主伐後の再造林の確実な実施による持続性が担保されることが必要。 主伐・再造林が本格化する中、伐採から販売、再造林等の林業経営を行う権利を取得し、「長期にわたる持続的な経営」を目指すことが必要。 林業は自然条件下での人力作業が多く、低い生産性や安全性の改善が課題。伐採・搬出の生産性向上・安全確保や造林の省力化、森林管理から生産 地域の特性を活かした林業・木材産業の成長発展や、木材供給にとどまらない森林の価値の活用を通じた山村と都市との地域間交流の拡大等により、山村地域の活性化を図り、国民経済の発展に繋げることが重要。 ーーー 以上が、林業経済学会で報告された次期森林林業基本計画の策定過程の概要です。 すべて林政審での議論に基づいた内容なので、しっかりフォローしていなければならなかったのですが、学会にいって包括的な情報を入手するというのではすこし、さぼっていましたネ。ごめんんさい (コメント1 グローバルな動向をしっかり踏まえて) 勉強部屋ンのキャッチフレーズ「地球環境の視点から、日本の森林と木材を考える」。 20年前の基本計画にSDGsがのったのも、勉強部屋のパブコメが切っ掛けです(「自慢話)。 今回の報告の背景説明、$5では「地球温暖化防止や生物多様性保全への社会的関心が高まっている。こうした森林の有する多面的機能を総合的かつ高度に発揮させるため、多様な森林の配置に向けた森林整備を推進することが重要」、$6でも「国際的に気候変動、生物多様性に対する関心が高まり、企業に対し自然関連の情報開示を求める動きが拡大」など重要な記述があります。 しっかりそれをふまえた計画が編成されるか注目です
$6 環境に配慮した企業との関係性などが重要なテーマとなりますね。森林のガバナンスをしっかりやっていく意味でも川下の環境志向とタイアップすることが大切です 関連して、現行計画$1と次期計画にむけての検討事項($8から16)を比べたリストを作成してみました。 $12 森林資源の循環利用の推進 $13 「持続可能な木材生産に向けた対応方向」の重要性がわかります CW法が合法伐採確認木材のことしかいっていませんが、それだけでなく持続可能性な木材へのステップアップがこの機会に進むかどうか、注目点ですね。 林業経済学会の大会で頂いた重要な情報です。 今後の検討プロセス、勉強部屋でしっかりフォローしていきますので、よろしくお願いします
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