ニュースレター No.287 2023年7月15発行 (発行部数:1641部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1. フロントページ:天皇のインドネシアご訪問とインドネシアの森林問題(2023/7/5)
2. 欧州の木材DD(デューデリジェンス): 違法伐採から拡大 - CW法改正の参考ー2023年度勉強部屋Zoomセミナー第1回報告(2023/7/15)
3. 第17回木の建築賞表彰式が開催されましたー受章者のプレゼンを木材調達の視点から紹介(2023/7/15)
4. 「総有」の概念を用いた「入会林野」の現代的変容が促進する人工林整備要素の分析ー現代総有研究会報告会ク(2023/7/15)
5. バイオマス持続可能性WG第3次中間整理ーバイオマスFITに新たな制度(2023/7/15)
6. 地球と森林と二酸化炭素の物語ー勉強部屋23年度Zoomセミナー第2回御案内(2023/7/1)
7.  改正クリーンウッド法の説明会開催(2023/6/25)
8. 日本とインドネシアの関係、地球環境の行く末にとっても大切なのかな・・・ー勉強部屋ニュース287編集ばなし(2023/7/15)

フロントページ:天皇のインドネシアご訪問とインドネシアの森林問題(2023/7/5)

天皇皇后両陛下は、6月17日から23日の日程で、インドネシアを訪問されました。即位後はじめての外国訪問

両国関係が結ばれて65年、アセアンとの関係がむすばれてから50年など節目の年、といった説明がされていますが、前の天皇いまの上皇が1991年初めて外国訪問されたのもインドネシア(タイ・マレーシアとともに)なのだそうです。

ネット上のグローバルな情報が飛び交い、G7・ウクライナ・グローバルサウス・・・など関心が広がりますが、地政学的に日本のいる位置は東アジア、そこで海外との関係をどのように伐り結んでいく必要があるか?と考えた場合、日本とインドネシアはの関係は重要なのでしょう。

世界で三番目の熱帯林大国インドネシアでもあり、あらためてインドネシアとの関係を森林の視点から考え直してみました。

(戦後の日本森林木材ビジネスとインドネシア木材輸入そして森林保全)

戦後日本の合板産業は、東南アジアの熱帯林に生育する均質な大径木(フィリピンのラワン材)に着目して大量に輸入し製品を一部輸出するなどビジネスを広げました。そして、輸入の範囲はフィリピンのラワン材から、マレーシア・インドネシアのメランティ材へと広がり、世界の丸太輸入量の半分を日本が輸入していた時代(1980年代)がありました。

そして、グローバルな森林保全が共通の課題となってきたときに日本への批判に

1970年代から日本は先進国として国際開発援助ODAに力をいれはじめ、JICAなどが活動し始めますが、その中で、フィリピンのパンタバンガンプロジェクト(1976-92)-、インドネシアの東カリマンタン・ムラワルマン大学援助プロジェクト(熱帯降雨林造林研究センター設立1979-整備拡充1995-、など森林関係のプロジェクトが進行しました。(これらのプロジェクトには藤原もサポート体制の一員として少し関与しました)

森林の開発保全という分野は途上国にとっても取扱いが難しい分野ですが、インドネシアは過去の歴史と決別しても、国内の森林資源のガバナンスを守る、議論が進行しました。「環境と貿易」のインドネシアの教訓(2003/07/21)

((第3の熱帯林大国の森林破壊ゼロへのグローバルな取り組みは))

(インドネシアの、森林の近況は?)

右の図はGlobal Forest Watchというサイトからインドネシアの森林の推移をみたものです

2002年から21年の間に9.95百万ha(11%)の一次林(Humid Primary Forest)を失いました(上の図)。また、同じ期間に28.6百万haの森林(tree cover)を失いました。とされています。(少しその減少傾向は下がってきているようですが)

(森林ガバナンスの最近の状況:インドネシア)

林野庁のクリーンウッドナビ「合法伐採木材等に関する情報提供」というページにインドネシアの森林の最近の情報と木材の合法性証明のシステムについての情報が掲載されています

インドネシアでは、2016年ごろからSVLK(Sistem Verifikasi Legalitas Kayu)という木材合法性証明システムが」構築され、近年、その内容が合法性だけでなく持続可能性に、また対象範囲が拡大など、進展しているようです。

また、クリーンウッドナビには、インドネシアから輸出される木材製品には、合法性証明書(EU向けにはFLEGTライセンス、日本を含むその他の国に対してはV-Legalドキュメント)が発行されるとして、すこし詳しい証明書の内容などが掲載されています。

インドネシア国内の現場から輸出に至るサプライチェーンがどのように管理されているか、(現場管理のシステムも含めて)など少しわかりにくいですが、EUへの輸出などを背景として、進展がはかられているようです。

(作成過程で林野庁の本件の情報源であるIGESの関係者、インドネシアからの輸入ビジネスをしているエイピーピージャパンの関係者に情報を伺いました。ありがとうございました今後その辺の内容もふくめて、フォローしていきますね)

(30年までに森林の消失を反転させるには)

さて、「2030年までに森林の消失と土地の劣化を阻止し反転させるというコミットメント」(G7サミット)として、森林の減少問題に歯止をかける動きが国際的な合意になってきています。

ブラジル、コンゴ民主共和国について、世界で3番目に熱帯林をもっている大国、インドネシアの動向は?

先ほどの30年までに反転のという動向に出発点となった、気候変動国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で100カ国以上が署名した、「2030年までに森林破壊を止める」とした共同宣言

当時のニュース気になるものがありました。
「森林破壊ゼロ強制は不公平」 インドネシア閣僚が共同宣言に反論
インドネシア、森林破壊の終了合意を「不公平」と批判

大統領が署名した文書に閣僚が反対?

本件については、今年の11-12月開催の気候変動枠組み条約COP28にむけて、「森林、自然及び気候に関するカントリーパッケージ」など、森林減少の反転に向けたシステムづくりの話が進展していくので、アジアを代表するインドネシアの動き、しっかりフォローしてまいります。

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機会があれば、天皇陛下のお耳に入るといいですね。

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日本とインドネシアの関係、地球環境の行く末にとっても大切なのかな・・・ー勉強部屋ニュース287編集ばなし(2023/6/15)

フロントページは、天皇のインドネシアご訪問とインドネシアの森林問題です。

天皇陛下の即位後、初めての海外ご訪問の行く先はインドネシア、ああそうですか・・・。、先代天皇陛下(現上皇)の即位後初めての訪問国もインドネシア(その時は対マレーシアと一緒ですが)!!

皇室の海外旅行の行く先の決定過程とか本当の理由はよくわからないところがありますが、…インドネシアという国は戦後の森林の関係史のなかでは結構な役割があり、私自身もしょっちゅう通っていたような時期もあり、思い出話のようなことを書きました。

が、グローバルな視野で現時点で考えてみて、熱帯林大国のインドネシアが今後果たすべき役割は重要であり、当然両国の森林分野の関係の連携には重要な可能性があるかもしれませんね。

また、7月14日までインドネシア(ジャカルタ)でアセアン関連外相会議というのをしていましたが、そこに集まてくるのが日中韓米ロ(北朝鮮)だとか他のフレームワークでは決して集まらない面々(国連の安全保障理事会ではあつまるかな)が集まって、グローバルな調整ができるかも。すごいですね。(森林ガバナンス以外でごめんなさい)

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ZOOMセミナー今年度第一回の報告が掲載されています。皆さんご協力ありがとうございました。

CW法の改定ばなしと、欧州のDDの話をリンクさせて、DDに詳しい籾井さんの話をお聞きしようか、という気持で、今年度の第一回のZOOMセミナーを企画しました。

しかし、今回の開催報告にあるように、DDと森林ガバナンスの関係は日本のCW法の改正などといったローカルな話題だけでなく、次世代を視野に入れたビジネス関係者が、森林劣化・減少の反転といった、グローバルな課題の取り組みを主導してく、重要なツールといった意味合いがあるんですね 。

資料をしっかりおいてありますので、フォローしておいてくださいね。

勉強になりました!し、宿題もいただきました!!。

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今年度第2回目の勉強部屋ZOOMセミナーは8月5日開催です。森林の二酸化炭素吸収量に関して積極的な提言を重ねている、熊谷朝臣東京大学農学生命科学研究科教授をゲストに迎え、「地球と森林と二酸化炭素の物語」というタイトルで話を伺います

森林政策をグローババルな視野から勉強している、このページの重要なイベントです。参加者とゲストのコミュニケ―ションが、今年度のZOOMセミナーのチャレンジでもあります。準備段階から参加お願いしますねー

今回から、森未来さんと一緒にウッドマイルズフォーラムが共催となります

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それではよろしくお願いします

次号以降の予告。。ウッドマイルズフォーラムの今後の方向性ーWMF理事会総会から、DDと日本企業(1)○○企業の取組、CW法登録と業界団体一括登録の可能性は?、バイオマス発電燃料GHGでこの燃料はリスクある?森林・自然・気候の新カントリーパッケージ new Country Packages for Forest, Nature and Climate

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara.takashi1@gmail.com