「自然共生サイト」の第一次認定結果が公開ー今後森林ガバナンスの制度が蓄積してきたツールの評価がされる30by30の実現への道筋(2023/11/9)

10月6日環境省が、令和5年度前期自然共生サイトの認定結果として122地域のサイトの認定を公表しました。

このサイトでも追いかけてきました(生物多様性が拡大する社会は森林ガバナンスの制度とどんな関係ー30by30の実現への道筋(2023/2/15))が、2030年までに陸地と海の30%を保全するという、30by30の国際約束に向けて、国立公園などの国の自然公園の施策で管理する仕組みと別に、民間の取組等によって生物多様性の保全が計られられる区域を「自然共生サイト」に認定することした、第一弾の地域リストです。

右にあるように認定された自然共生サイト(その中から保護地域を外した部分)はOECMとて国際データベースに登録されます。

グローバル地球環境に向けたコンセンサスの文脈の中で日本の森林ガバナンスを検討しよう、という、このサイトにとって、30by30という陸地の3割にわたる大きなグローバル約束にむけて、森林政策が培ってきたガバナンスのツールがどのように貢献するのか?足りないところはどのようにしていったらよいのか?ということを考える大切な場面です。

今回のリストは今後の検討する材料なのでそのような視点で、少し見てみますね。

(認定の基準)

認定の手続きは、認定実施要領とともに認定の基準がネット上に掲載していますが、概要右図の通り(「自然共生サイト」の概要から)。

林業的利用との関係でいうと、生物多様性の価値のなかの、生態系サービスの提供(木材生産の含めt)の場は重要な要件です。(今後の検討課題)

(認定サイト概要)

認定されたサイトの概要は、認定の要件に応じて詳しい情報が公開されています(→認定サイト一覧)。ただ全体の概要を示す情報がまだ公開されていません(10月31日現在)

提案主体   サイト数  左% 面積
(千ha) 
 左%
 企業  76  62  50  64
 行政  11  9  0.2  6
 その他  35  28  ・・・  ・・・
 計  122  100  78  100

このリストの情報の位置づけを見る意味でも大切なので、情報を拾い出して整理してみました(左の図)

環境省を中心とし呼びかけにこたえて、企業が、工場用地に形成してきた緑地や、製紙業界などが蓄積してきた社有林などについて、管理体制を整えて(ガバナンスに関する基準)認定されています(全体のうち2/3が企業提案サイト)。

(あと7年度今回の40倍の面積に認定が必要?)

右に全体のロードマップを示す図を掲載しましたが、今回の認定の公開は、真ん中の赤い〇にしめした、認定制度の本格的運用の第一弾。

現在保護林で確保している保護地域の他に、30%に至るまでに3百万ヘクタールを超えるサイト認定が必要なんですが今回の認定は8万ヘクタール。この40倍の認定が必要なんです。

(ロードマップの今後の展開と森林行政が蓄積してきたツールの国際評価)

そこで、今回の認定サイトは、右の図にあるように、中間評価の対象とされる材料です。

その結果をうけて認定を推進して40倍にしていくんですが上の図のピンクの〇にあるように、「国の制度等に基づき管理されている地域のうちOECM(自然共生サイトのうち国立公園などを差し引いた地域)該当地域を整理する作業」が大切になってくると思います。

国立公園・国定公園以外に生物多様性の観点を含めて管理している国の制度は?

そうです、林野庁が所管している、保安林だとか、国有林だとか、「国の制度等に基づき管理されている地域」が重要な役割を果たすんだと思います。

市民と連携したガバナンス制度とか、生物多様性の価値に関する基準などに踏み込んで、森林が蓄積してきた管理制度を存分にグローバルな視点から評価する機会になり、また、これらの制度の蓄積を世界に発信する機会になるとよいと思います。

これらの地域は、認定されればOECMとして、国際データベースに登録されます。

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