木材の効果の見える化から価格化へー温室効果ガス算定・報告・公表制度(2025/6/10)

5月30日のキックオフ・フォーラム『みんなでつくる持続可能な森林と社会』林野庁の小坂次長の基調報告森林木材の持続的循環利用に向けて、は、面白かったので、別途まとめて報告しようと思っています。その中の、プレゼン資料の中に、木材利用の効果の「見える化」か「価値化」というページがあり、木材利用の環境貢献を見える化するだけでなく価値化?する筋道である「温室効果ガス算定・報告・公表制度」という最新情報がありましたので、ご報告しておきます

(温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度とは?)

林野庁の温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度というページにわかり易い解説がついています。

「我が国では、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、温室効果ガス(以下、GHG)を一定量以上排出する者(特定排出者)に対してGHG排出量を算定し、国に報告することを義務付けるとともに、国は報告された情報を集計し、公表する算定・報告・公表制度(以下、「SHK制度」という)が運用されています。

SHK制度はGHG排出量を対象とするため、特定排出者の事業活動に伴う森林吸収量及び木材利用による炭素蓄積量については、任意の報告を行うことができることとされています。一方、ネット・ゼロの実現に向けて、事業者単位のGHGインベントリにおいても吸収・除去等を位置付けることが重要となっていることを踏まえ、環境省主催のSHK制度算定方法検討会において、単なる任意報告にとどめない森林吸収等の取扱いに関する検討が行われてきました。このような中、令和6年6月に開催された第9回検討会においては、森林吸収量等の算定方法の具体化に向けた検討を行うため、有識者からなる森林小委員会を設置することについて合意されました。」(以上林野庁ウェブサイトより

本体は環境省サイトはとりあえず、こちらに全体の管理ページがあります

(森林小委員会の検討状況と方向性)

上記をうけて、昨年10月以来小委員会開催されていますが、5月上旬の第3回報告書の提出された中間取りまとめ案とい資料にもとついて、得に木材利用をこの評価方法の中で、どのように位置づけようとしているのか見て行きます

(算定対象となる活動境界(木材製品の種類・要件))

論点5:木材製品の炭素蓄積変化量の算定方法】(算定対象となる活動境界)

所有する固定資産(木材を利用したもの)のうち、建築物については、算定期間中にインフロー(新築・増改築・取得した物件中の炭素蓄積量)が発生した敷地に従前建てられていた建築物のアウトフロー(解体・譲渡した物件中の炭素蓄積量)を過年度に報告している場合に限り、インフローを算定できる。ただし、アウトフローの算定対象となる建築物が別の事業者の所有であった場合及び従前に建築物がなかった敷地に建築する場合、アウトフローの算定は不要 

東京駅前に建設中のT社木造の本社ビルプロジェクトで考えてみましょう。(T社が温対法の特定排出者かどうかはわかりませんが)

インフロートとは、本社ビル建設時点で新たにつかわれた木材が固定している炭素蓄積量ですね。

同じ場所に立っていた前の本社ビルが固定していて解体廃棄した木材の炭素蓄積量を報告している場合だけ、報告できるとなっています。(つまり、T社は解体前の木材の量を推定して後から報告するということになるのでしょうね)

 算定対象の木材製品は、クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)等に基づき、合法性が確認された国産材に限る。

国産材だけなんですね?!

このシステムが日本の排出量低減に資するために行われているので、木材の固定量の算出方法が、生産法に規定されているので(面倒臭いですがこちらに説明あり)国産材のことしか伐採木材に関しては考慮しないので、それに合わせてあるんでしょうね。

T社のように、グローバルな企業にこのフレームワークを説明していく場合、問題になっていく可能性があります。また、万博の木材リングの調達基準は国産材ではないなど

それから、クリーンウッド法で合法性が確認、という点も、いろんな議論が必要です。T社の本社ビルの木材は森林認証材が多く含まれているようですが、それ以外の木材で国産材ではどうやって、合法性を証明するのか。

関係者に聞いたら、サプライチェーンの管理方法がCW法にはしっかり記載されていないといった問題もありそうです

木材利用の見える化でなくて、さらにに一歩進める価値化の手法です

木材のトレーサビリティの担保など、今後しっかり議論をしていただきたいですね


kokunai4-68<SHKmokuzai>

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