「日本林業は世界で勝てる!」グローバルな視野から日本の林業の未来を俯瞰!!?(2026/5/22)

5月13日、日本林政ジャーナリストの会の「令和8年度第1回研究会:タイトルは、「日本林業は世界で勝てる!」ゲストは一般社団法人日本木材輸出振興協会会長 山田壽夫氏」があったので、出席してきました。

ゲストは、知人だし同じタイトルの本が出版されていて、私も購入していました。

でもまだしっかり読んでいなかったので(ごめんなさい)、この機会に勉強してみよう。

プレゼン資料は103スライド、52ページの膨大な情報。一挙に伝達されて、少し混乱。すごい情報なのでしっかり報告できるかな?

プレゼン資料:
日本林業は世界で勝てる!目次
0 イントロ
1 世界の森林林業の事情・・・・・・・スライド3
2 素材生産の世界標準・・・・・・・・スライド57
3 再造林委おける世界標準・・・・スライド68
4 日本林業の未来・・・・・・・・・・・・スライド74

章別にまとめて紹介します

(イントロ)

「2021年の世界的な木材価格の高騰、すなわち第三次ウッドショックが米国、中国での木材供給不足から起こった。なぜ起こったのか様々な意見があるが、私はその大きな要因は20世紀のような無尽蔵にある天然林での木材供給から、21世紀に入って二次林を含む人工林への依存へと世界は大きく舵を切っていたのであるが、その木材生産林の有限性が明らかになったからだと考える。
今回の研究会においては、我が国の木材には国際競争力があり、日本林業は様々な改革は必要だが循環型林業を確立できると私が考えていることをご説明したい。」

わかり易いイントロでした

((1 世界の森林林業の事情))

(1-1 世界の森林と日本の森林)

・日本の㏊当たり針葉樹蓄積221㎥、それより多い国は、南半球のニュージーランド392㎥/㏊、欧州のドイツ321㎥/㏊、オーストリア299㎥/㏊、そして旧東欧圏のルーマニア281㎥/㏊やウクライナ227㎥/㏊です。これらの国の森林からは我が国に多くの木材が輸入されています。これらの国の針葉樹蓄積はドイツ22億㎥、ニュージーランド11億㎥、オーストリア9億㎥であり、それに比べて日本は37億㎥と収穫期に達したスギ、ヒノキなどの針葉樹が世界的にみてもいかに多いかがわかります。

・我が国への欧州からの木材輸入は北欧からもたくさん来ていますが、そのスウェーデンは25億㎥、フィンランド19億㎥と一定の蓄積はあるのですが、㏊当たり蓄積は106㎥/㏊、104㎥/㏊と我が国の半分以下しかありません。北極圏など緯度の高い地域の森林を含むこれらの国の森林の年間成長量がいかに低いかが推察されます。

ということで、日本の森林は世界のマーケットに木材を共有している国と比べてもパワーがあります。

(1-2これから消費量が増える)

人口千人当たりの製材品の消費量で、一番多いのはフィンランドでの682㎥、そしてスウェーデン642㎥、ノルウェー578㎥と北欧が高く、次いでニュージーランドの542㎥となり、カナダ497㎥、米国310㎥となります。

・我が国は118㎥で、ドイツ243㎥の半分、イギリス170㎥の、フランス147㎥より少ないですが、イタリア97㎥より多く、世界平均の64㎥からはほぼ倍の消費量になっています。

・また人口の多い中国は89㎥ですがインドは6㎥とかなり少ない状態です。もし中国が日本と同じ一人当たり消費量になると追加で4.2千万㎥必要で、インドが中国と同じ消費量になると1億1千万㎥が必要で、この2カ国で世界の消費量4億9千万㎥の3割増程度の製材品が必要になります。

ということで、これから木材消費量はふえます。

1-3 人工林の木材生産へのパワー)

・世界の森林資源評価(FRA)2020には、森林の管理経営目的を生産、水土保全、生物多様性保全、社会的サービス、複数利用など6つに区分した調査結果を報告。世界全体でみると、「生産」が28%、「複数利用」が18%、「水土保全」が10%、「生物多様性」が10%です。

・最も多く設定されているのが「生産」11億5,000万㏊で、この部分を中心に木材の供給が行われているということです。
・そして、生産を主要な目的とした森林の割合が大きいのはヨーロッパ(ロシア連邦を含む。)で、総面積の5割を占めているということです。ヨーロッパの森林面積は約10億㏊ですので、生産目的の森林は約5億㏊ということになります。
・この報告にはロシア連邦を除くと約3割と、北米・中米と同程度になるとされており、ロシア連邦の森林面積を除くとヨーロッパの生産林は約6,000万㏊(ヨーロッパの森林面積1,001百万㏊引くロシア連邦815百万㏊=186百万㏊の3割)ということになります。

((2 素材生産の世界標準))

我が国の主伐の生産性は高性能林業機械の導入等により1990年の1.6㎥/日人から2021年には7.3㎥/日人まで向上しています

ですが、世界お他の地域と比べてみると・・・

ニュージーランドと米国ジョージア州は、我が国とほぼ同じ約3,000万㎥の木材を生産しています。

その伐出労働者はそれぞれ約4,000人と3,500人で、我が国の伐出労働者2万人とは大きくかけ離れています。

つまり、日本は少し向上したといっても、世界の先進地域の5分の1の生産性。

AIなどの活用によって素材生産分野での労働力を機械に置き換えることが必要です。

我が国では世界標準に向けた年間約16,000人分の作業の機械開発があるということです

「山林を足で歩かず丸太に手で触れない素材生産」は林業の機械化で可能

(1)素材生産のすべての工程で手と足を直に使わない、機械を通じて使うシステムを追求し合理化する。

(2)山元の現場の状況に応じてどんな小さな作業でも安全性の向上と低コスト化に向かって機械化にチャレンジすることが重要です。

(3)難しいと諦めるのでは何事も成りません、目標を掲げなければ達成できないのです。

(4)関係者が一丸となってAI等を活用した林業の機械化に取り組みましょう。

この部分は、頑張りましょうというメッセージですが・・・資料の中には、これならできるかもという世界中の現場を歩いた結果の情報がたくさんありますヨー

((3 再造林における世界標準))

・世界の人工林面積は1990年代以降増加(年間406㏊)し、2000~2005年に年間513万㏊、2010~2020年でも年間306万㏊増加している。

・農用地との競合関係ある土地での人工林の林業を行っているニュージーランドのラジアータパインなどの年間成長量は20~30㎥/㏊で、30年生で600~900㎥の収穫の出来る育種樹種や米国のサザンイエローパインとの競争力を確保していく必要がある。

・さらに、ユーカリ、ポプラ、アカシアなど5~20年で収穫している早生樹のエンジニアードウッドやバイオマス原料としての利用が進んでおり、その成長力と木材利用の加工度の高度化を踏まえて我が国の競争力を確保していく必要がある

我が国でも循環型林業の確立は可能)

・我が国の再造林については、北欧やカナダなどの天然更新との競争力や下刈等再造林での国際競争力のなさが問題視されているが、ニュージーランドや米国での調査によると、天然更新木は二次林としての成長にばらつきがあり、除伐して育種苗を植えることが有利との判断であり、我が国でもエリートツリーなどの成長の速い品種の確保で800本/㏊植えで、20㎥/㏊の年間成長量を目指す投資型の林業の可能性は十分にあると思われる。

・我が国林業の再生産には、傾斜地での素材生産の合理化が必要だが、ニュージーランドの傾斜地での機械化と同様の取り組みを我が国で行えば国際競争力を十分確保できると考える。

・ニュージーランドで30年、米国で30~40年、欧州では60~120年近くたたないと収穫できないという林業において、戦後世界の天然林との競争に負けたとはいえ、植林後すでに60年から先行投資している我が国人工林を活用して循環型林業を確立すれば、その国際競争力は十分あると考える。(スライド71)

日本林業の競争力
・世界の木材需要は、人口の増加や途上国のGDPの上昇とともに増加してきており、今後世界人口が100億人なるという予測の中で、木材需要はそれに伴って増加していくと考えられ、しかもその供給は、天然林でなく、人工林または二次林で保続型の管理された森林からの世界的な競争になる。。
・世界の木材の生産林は11億㏊で、日本ような人工林は1億3千万㏊、その人工林の中にはパルプ専用やパーティクルなどの加工用チップ専用のものも多数含まれており、製材用材としての我が国スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツの世界的な資源としての競争力は十分備わっており、素材生産・運材の合理化や工夫による生産性の向上と造林投資の合理化を進めれば、我が国の林業は十分世界的な競争力を確保できると考える。(スライド73)

((4 日本林業の未来))

日本林業の未来(㏊800本植えで、30年伐期スギ林業)のコストの試算(スライド78)

地拵え:再造林、全幹集材でほぼゼロ
苗木代:800本×100円で8万円、150円で12万円
植付労賃:1万5千円×3人で4.5万円、4人で6万円
下刈:ドローンによる㏊800本にスポット除草剤
(現在㏊10分の農業散布を工夫)
間伐:無し
造林投資合計㏊20万円~30万円以下

収穫:30年、㏊10~20㎥/年成長として、300~600㎥/㏊
利用材積7割として、210~420㎥/㏊
㎥当たり平均11,000円工場着
素材生産費4,000円以下、運搬費2,000円以下
森林所有者5,000円以上、105万円~210万円

結論:2030~2040年の林業・木材産業(スライド79)(=山田さんの夢)

・全国に原木投入量年間10万㎥の製材工場が100工場ツーシフトで2,000万㎥、一方3,300㎥を消費する3,000の工場が並立し、都合3,000万㎥の原木を製材し、さらには合板・LVL工場などが1,000万㎥、製紙用やバイオマス発電施設等の利用1,000万㎥、合計5,000万㎥の国産材が効率よく生産され、世界と競争している。

・山では、乗用作業や完全リモートコントロールされた林業機械が伐採・収穫から跡地の植付までを少人数で効率よくこなし、・10トン車に8mに山元採材された丸太が、大型加工施設の採材・分別土場に搬入され、大型工場で量産が行われる一方、近隣の中小加工場にもそれぞれに必要な原木の効率よい供給が行われている。

・山元立木価格は5,000円を超え、成長の良いエリートツリーを㏊当たり800本植えたものが、30年で伐採され、丸太価格は2020年とあまり変わらないが、素材生産、運材コストがAIの導入で大幅に下がり、造林投資は米国のサザンイエロウパインやニュージーランドのラジアータパインと遜色のない年利5~7%近くで回る時代となっている。 

((最後に。、輸出の可能性))

今後の無節柾目材の木材輸出の可能性(スライド100)

・世界の木材はロシアやカナダの天然林からの20世紀中の競争が終わり、人工林や二次林、三次林での競争に入っており、無節柾目材は枝打ちがないと生産が難しいと考える。

・植林後すでに60年から先行投資している我が国人工林には昭和40年代50年代に、無節の芯持ち柱の生産のためにビール瓶の大きさの幹の枝打ちが盛んに行われており、その後利用されないまま60年近い年輪を重ねている無節柾目の生産可能な立木が沢山あると考える。

・この立木を無節柾目を生かした製材を行い、国内はもとより世界の無節柾目の木材需要に対応した対応が今後の大きな課題の一つと考える。

以上です

ーーーー

第1章 なぜ日本林業は世界で負け続けてきたのか
1.日本林業の変遷と現状 2: 世界の林業の変遷と現状
第2章 世界の森林はどうなっているのか
1 世界の森林資源の変遷 2. 世界にある様々な森林
3 世界の森林蓄積 4.世界の人工林 5. 世界の木材生産林
第3章 敵を知る一主要林業国の実カー
1.米国 2.カナダ 3.欧州 4.ニュージーランド
5.中国 6. ベトナム 7. ロシア
第4章 己を知る一日本林業の実カー
1. 世界の林業国と木材需要の見通し
2. 世界で戦うためには生産コストの削減が不可欠
3. ウッドショックから読み取れる大きな変化
4.日本の製材業は国際レベルに近づいてきた
5. 木材流通の構造的変化が進んでいる
6. 製品市場の縮小とプレカット工場の台頭
1 日本国内の木材需要はどうなっていくか
第5章 日本林業の課題と可能性
1 日本林業が乗リ越えるべき2つの課題
2.現場から見た日本林業の実力
3. 素材生産のあり方を見直す 4.再造林のあり方を見直す
第6章 世界の林業主要国は何を目指しているか
1 最近の円安が意味していること 2. 「スマート林業」の可能性
3. 「無人化林業」の実現に向けて 4.日本林業改革試案
第7章 日本林業は世界のトップに立てる
1. 私の生い立ち 2. 絶えざる挑戦によって国際競争力を獲得する
3. ビックデータで競争する時代 4. 日本林業の未来像 

以上の報告のあと、そういうことなので、「本を買って読んで下さいねでくださいね!!」というのが「しめで」す

本の目次を右に示します

こんなむずかしいことできるの?)

日本の急傾斜の林業現場の難しさを前提に、難しいけど頑張りましょう、というメッセージですね。

目次にある、 「第3章 敵をしる―主要林業国の実力」にある 1.米国 2.カナダ 3.欧州 4.ニュージーランド5.中国 6. ベトナム 7. ロシアといった国々の、林業の現場の写真は殆ど「著者撮影」。現場を知り尽くした著者のメッセージです

日本の人工林は世界のなかでも際立った資源です。人工林資源としての国際競争力は十分にあります。林豪・木材産豪の関係者だけでなく、国民全体に共有出来るようにすべきです。ともに挑戦していきましょう。」(本の249ページ)

これが山田さんの本の最後のメッセージです

((世界に勝てる林業と森林認証制度ーと持続可能な森林))

グローバルに林業をみてきた、すごいストーリーですが、グローバルな消費を考えると、世界のマーケットで定着されてきている「持続可能な木材」というコンセプトは、どうなっているでしょうか?

著者山田さんは、日本で森林認証制度が定着する段階で、2011年から2019年までSGEC専務理事をしていた経験がありますので、「日本の林業は世界で勝てる」という本の中に森林認証のストーりーはあるかな?と探してみました。

ありました!! 56ページ左の図 図2-5FSC 及びPEFC による森林認証面積(1990~2020年)

以下のような説明が・・・

、「視点は全く違いますが、「FRA2020」こは森林認証についても報告されており、世界では主にFSC とPRFCが昔及しており、その認証面積の推移は図2- 5 のようになってます。2019 年時点で、世界の森林面積のうち、FSC による認証は2億ha、PEFCによる認証面積は3億1, 900 万ha であり、重複して認証されている森林面積を除いた世界の森林認証面積は4億2,600haiこなるとされています。この4億2,600 万ha が世界の木材供給の中核的存在になると考えられます。(本の第2章終わ、56ページ)

というように第2章世界の森林はどうなっているのか、の締めのことばが森林認証森林に着目したすごい記述なのです・・・その後の記述は日本の森林がどのように森林認証制度と連携して中核的存在になるのか、という物語がかかれているのかな?と調べてみました、・・・・が、その後の章には作業過程の効率化!無人化!などの抜本改革の物語が記載されていますが、森林認証制度に関する記述がありませんでした。

(ご本人に聞いたら、安藤直人先生が編集した森林認証という本に書いたのでこの本にはあまり書きませんでした」というコメント)

持続可能な森林というコンセプトがFSCとPEFCのスタイルになっているけど、日本でその二つを統合したわかりやすい制度ができて、その面でも世界にかちますよーという物語が欲しいですね。

次のバージョンの本は「日本の林業は世界で勝てる!そして世界中の持続可能な森林を次のステップに進ませる!!」ですね。期待しましょう

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