森林・林業・木材産業への投資のあり方ーガイドラインの内容は?(2022/9/15)

林野庁が設置していた 「森林・林業・木材産業への投資のあり方に関する検討会」が中間とりまとめを、「カーボンニュートラルの実現等に資する 森林等への投資に係るガイドライン 中間とりまとめ」という形で公表しています。(6月20日付(遅くなってごめんなさい))

森林の利用整備保全は誰にとっても大切なこと。公的資金(補助金)でなくて民間資金が利用できないの?

海外では森林への民間投資がすすんでいるのに、日本ではなぜ進まないの?

このページでも追いかけてきました。森林投資とカーボンオフセットーある投資セミナー関心事項(2021/7/15)

森林関係者も投資関係者もみんなが思っている疑問に対して、理由を解明し対応策を提示する!!

読んでみたので、ご紹介します。

(中間とりまとめの全体像)

ー−−目次ー−− 
T.気候変動対応において森林に期待される役割等について
1. 世界と我が国における森林のCO2 吸収の位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)世界における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2)我が国における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.気候変動の視点から見た世界の森林の現状と森林等への投資の取組・・・・・・・2
(1)森林の現状とCOP26 の対応方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2)森林等への投資の取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.我が国の森林の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(1)我が国の森林の現況とCO2 吸収量獲得に向けた課題 ・・・・・・・・・・・・・5
(2)我が国の森林等への投資の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(3)これまでの森林整備と今後の展開方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
U.森林等への投資を巡る環境変化
1.ESG 投資の流れの中で森林の注目度がUP・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
2.木材生産販売の収益確保可能性の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3.森林投資に対する収益期待の高まり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
4.官民ファンド等の新たな展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
V.カーボンニュートラル推進の観点からの森林等への投資促進のあり方について
1. 森林等への投資の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
2. 我が国の森林の特殊性を踏まえた検討の必要 ・・・・・・・・・・・・・・・・19
3.官民ファンド等による活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
4.民間投資機関における活用を見据えた検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
W.投資プロジェクトの評価手法について
1.評価の適用と意義について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
2.投資プロジェクトのカーボンニュートラルへの貢献度を評価する仕組み・・・・・22
(1)主伐及び主伐後の措置に伴うCO2 排出量の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・22
(2)伐採木材の活用用途に伴うCO2 貯蔵・排出削減量の評価 ・・・・・・・・・・・24
3.投資プロジェクトの生物多様性の確保等への貢献度を評価する仕組み・・・・・・27

((イントロダクション))

ガイドラインの本体にあたるのは、「W.投資プロジェクトの評価手法について」みたいで、その前段はイントロダクション

(海外の森林投資はすごい)

森林に関するニューヨーク宣言をウォッチしているNYDF Assessment Partnersが2021 年に公表したレポート「森林に関する各国の気候変動対策の評価」では、「2010 年以降、世界各国の政府は、国際投資と国内投資合わせて、森林関連の気候緩和に対し年間平均24 億ドルを投じている。これは、森林の保護、回復、持続可能な管理に必要とされる資金のごく一部(0.5〜5%)に過ぎない」(p3)

森林ファンドの世界市場規模は2000 年時点で200 億ドル(約2.2 兆円)であったが、2013 年時点では5倍の約1,000 億ドル(約9.8 兆円)にまで拡大し、その後も緩やかに増加しているものと推測されている(p4)

。2015〜2019 年に世界で発行されたカーボンクレジットを部門別に比較すると、森林部門の発行量が最も多い状況であり発行量の42%を占めている。(右の図)

この背景には、気候変動対応への貢献だけでなく、生物多様性保全、水源かん養などに関しても多くの便益を提供するなど、森林の多面的機能に対する高評価があるものと考えられ、森林整備に対する投資的活動は、収益性の観点からの場合のほか、投資事業が社会・環境に与えるインパクトに着目して行われる場合もある。(p4)

(世界のESG投資がすごい)

気候変動のリスクに対する機関投資家等の危機感が世界的に広まる中で、機関投資家等の間で、財務情報だけではなく、気候変動対応や生物多様性保全など企業経営のサステナビリティ等に関する非財務情報を評価する概念が普及し、ESG 投資7の流れが加速してきている(左図p13)。

(日本ではどうかな?)

ただ、日本の森林は吸収量が低下傾向・・・なので

森林造成だけでなく「伐って、使って、植える」という人工林の循環利用を確立することは、我が国の森林の公益的機能を持続的に発揮し、気候変動対応や生物多様性保全等にもつながる(p13)(といったメッセージががポイント)

我が国においては、カーボンニュートラルの実現に向けた流れ等を背景として、 @都市(まち)の木造化推進法の施行など、民間も含めた建築物への木材利用の気運の高まり、A FIT 制度等による、未利用木材等の木質バイオマスエネルギー利用の進展、B 森林経営活動に由来するJ−クレジット制度の活用に向けた取組の進展などの動き(これはどうかな?)が見られ、森林の価値向上につながり、インパクト投資の観点から期待が高まっている(p14)(んだそうです)(右の図)

(橋渡しをするのは官民ファンド?)

国の政策に応じて政府と民間が出資する政府系の官民ファンドが森林支援のために二つできた、ということで、二つの図面が掲載されています。

一つは、農林水産省農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法の改正によって森林分野にもあらなた出資が可能。もう一つは環境省株式会社脱炭素化支援機構の設立による森林吸収源対策に対しても民間投資の促進

大きな風が吹いていますが、前者は一年たってもまだ、投資実績がなさそう。(アグリビジネス投資育成株式会社投資先企業紹介)、後者は設立準備中

ということで、まだ、民間投資会社が心配している投資先に先鞭をつける官民ファンドが準備中。そこで、ガイドラインがこの事態の解決をリードできるか。

((どんなことがガイドラインに書いてある?))

対象は、主伐と再造林を含む評価が難しいプロジェクト。(伐って、使って、また植える)
二つの節からなっています。

(投資プロジェクトのカーボンニュートラルへの貢献度を評価する仕組み)

まず、このプロジェクトがカーボンニュートラルに貢献しているのか?は左図にあるように、二つの側面を評価します

@主伐及び主伐後の措置にともなうCO2排出量評価

ポイントは、主伐すれば立木の二酸化炭素が排出されるのでなく・・・

再造林をしっかり管理にすれば、伐採時点の蓄積に回復するので、伐採時の排出量をゼロカウント!。天然更新をする場合でもあるカウント方法を採用(具体的な方法は書いません)

A伐採木材の活用用途に伴うCO2 貯蔵・排出削減量の評価

製材工場や市場などの出荷した時は、その丸太の量に歩留まりをかけて、炭素量を計算して、CO2の固定量を計算。

燃料用の出荷する場合は、その木材を燃焼させた場合に、A重油を代替した量を計算して排出削減量を計算

(投資プロジェクトの生物多様性の確保等への貢献度を評価する仕組み)

タイトルはチャレンジングですが・・・二つの点が記載されています

@ 森林の公益的機能の維持・発揮に直接つながる事項

森林が適切に管理できているか?森林認証制度の取組状況、自然災害リスクに関するリスク要因分析をして対応しているか、合法伐採木材等(クリーンウッド法)に登録している事業者が参加している場合はその活動状況も・・・忘れないで記載してください

A 森林・林業・木材産業に関する投資プロジェクトの特性を踏まえた事業の安定性確保の確認に資する事項

○森林経営計画の作成、○先進的技術の導入、○地域貢献、○労働安全衛生や労働環境改善、○造林の省力化・低コスト化、○企業ガバナンスや企業情報の開示、○地域の事業体や市町村等との連携、などの内容を記載してください

ガイドラインは以上です

((ガイドラインがどんな貢献するのかな))

今後投資しようかな?と考えている民間投資家に対する情報提供なんですが、民間企業者が欲しい情報は二種類ありますよね。

@このプロジェクトに投資して儲かるのかな?Aこのプロジェクトに投資すると環境に貢献しているとして評価されるかな?

ガイドラインを読んでみると、@についての記載はなく、Aについて(しっかり)記載されています。前段で記載されているように、@については官民ファンドをたよってリスクの分散を測り、Aについて先進的な取り組みをしてくださいね。

というメッセージですね

なーんだという方が、結構いますが、カーボンニュートラルに向かうこの時代、気候変動の環境貢献の方法は、いろんな方法が検討されていて、いろんな影響を与えそうです。Jクレジットもその一つですが、今回の林野庁のガイドラインは、同じく林野庁の管理しているJクレジットの方法論と違います(少し(?だいぶ?)緩やか)。

このガイドラインが定着すれば、Jクレジットの方法論の影響をすることは間違えないし、環境パフォーマンスデータ開示などに取組んでいる企業には、参考になるでしょう。

Aをさらに進化させながら、民間資金が本当に知りたい@については、今後の宿題ですね

junnkan10-3(GLinvestFore)

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