G7サミットの中の森林と木材ーG7/2030年「自然協約」とは(2021/7/15)

主要先進国の7カ国が集まるG7サミット。6月11日から13日にかけて英国・コーンウォールで2年ぶりに開催され、パンデミックからの復興などについて、集中的に議論しました。(NHK6/12)

今回のサミットで合意された成果文書が外務省のサイトに掲載されています。マスコミには報道されませんが、森林に関わりそうな合意が結構あるので、ご紹介しておきます。

(G7首脳宣言)

合意本文G7首脳コミュニケ(和訳原文)の中の、気候及び環境のセッションの中に、以下のような文言があります。

パラ39 ●農業、林業及びその他の土地利用に関する分野では、我々は、我々の政策が持続可能な生産、生態系の保護、保全及び再生、炭素の隔離を奨励するよう確保することにコミットする。我々は、COP26における「持続可能な農業政策への移行に関する対話」と9月の国連食料システムサミットにおいて、これらの課題を議論する機会を歓迎する。

パラ43 本年の昆明での生物多様性条約COP15及びCOP26における自然のための力強い結果を支持し、2020年の第75回国連総会で立ち上げられた「リーダーによる自然への誓約」に留意し、我々は、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させるという世界的な任務を支えるG7・2030年「自然協約」(G7 2030Nature Compact)を採択する。「自然協約」により、我々は4つの主要な柱にわたり行動をとることにコミットする。

ーーなど

首脳宣言(コミュニケ)の他に、今回のG7で3つの付属文書が合意されましたが、その一つが、G7 2030Nature Compact和訳 G7 2030年自然協約)です。

(以下抄訳です)

(G7・2030年「自然協約」(G7 2030Nature Compact))

我々、G7首脳は、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させるという世界的な使命にコミットする。我々は、2030年までに、自然にとって必要な2030年への道筋を定めることを支援するため、メッス生物多様性憲章及び「リーダーによる自然への誓約」を基礎とし、その履行に尽力し、今行動を起こす。・・・

F.次の10年間を通して、我々は、生物多様性の損失を止めて反転させるために、それぞれが政府全体を基礎として動員し、(1) transition移行、(2) investment投資; (3)conservation保全; and (4) accountability説明責任の4つの主要な柱にまたがる行動をとる。

(1) transition移行、一つ目の柱/自然資源の持続可能かつ合法的な利用への移行を主導すること

(1A)持続可能なサプライチェーンを支持し、国内における明確な行動を示すこと等により、森林減少に対処すること。我々は、違法な土地転換を含む森林減少及び森林劣化から農業生産を切り離す持続可能なサプライチェーンを支援するため、ベストプラクティスを共有し、適切な場合にはデューディリジェンス要件の導入を含み得る適切な国内行動を検討することについて、貿易大臣が環境省及び他の省庁と共に取り組むというコミットメントを歓迎する

(1B)COP26の森林・農業・コモディティ貿易(FACT)対話に参加し支援すること

(1C)いくつかの補助金が環境に対して有害な影響を持つこと、及び自然に悪影響があると分かっている政策を改革する必要性を認めること

(2) investment投資; 二つ目の柱/自然に投資し、ネイチャーポジティブな経済を促進すること

(2A)財務省及び関係する省庁に対し、経済や財政の計画及び意思決定において自然について説明責任を果たす方法を特定するために、共に取り組むことを指示すること。我々は、他国や非政府主体がそれに続くよう奨励し、生物多様性に関する経済活動のフットプリントを考慮する。我々は、生物多様性の経済学に関するダスグプタレビュー及び関連するOECDの生物多様性に関する政策ガイドを歓迎する

(3)conservation保全; 三つ目の柱/野心的な世界目標等を通じたものを含め、自然を保護、保全、回復させること

(3A)この10年間に必要とされる、保全と回復の努力のための重要な基礎として、2030年までに世界の陸地の少なくとも30%及び世界の海洋の少なくとも30%を保全又は保護するための新たな世界目標を支持すること

(4) accountability説明責任 四つ目の柱/自然に対する説明責任及びコミットメントの実施を優先すること。

(4B)定期的に本協約の進捗状況をレビューすること。これは、2030年のビジョンの実現を確保するため、必要に応じて我々の行動と野心を徐々に高める選択肢のレビューを行う今後5年間のG7首脳サミットを含む、既存のG7メカニズムを通じて行われる。

ーーー以上

以上森林に関連有りそうな部分の抄訳ですが、やはり英国グラスゴーで11月に開催予定の気候変動枠組み条約COP26にむけて重要な作業が提起されレいるようなので、関心のある方は、以下の原文を参照下さい。勉強部屋でもフォローしていきます。

G7 2030Nature Compact和訳 G7 2030年自然協約

kokusai3-12<G7_2030NC>

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