日本森林学会公開講演会(2026年度)森林のさまざまな空間利用の広がり~森業、森林サービス産業の進展をめざして~(2026/6/11)

5月26日東京大学弥生講堂一条ホールで「日本森林学会公開講演会(2026年度)「森林のさまざまな空間利用の広がり~森業、森林サービス産業の進展をめざして~」、と題するイベントがあたので、行ってきました

林業経済研究所が共催しているし、森林に関連した産業(ビジネス)が木材を中心とした林業だけでなく、森業といった森林が関係した木材以外のサービスに対応したビジネス分野が確立されつつあるので、「林業」経済研究所はどうなるんだろう??

左のチラシに記載されている、趣旨は以下の通り。

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「近年、各地で森林空間を活用したさまざまなプログラムやサービスが生まれています。それら事例をはじめ、森林サービス産業の概要や課題を整理した『森林サービス産業白書』(右に目次があります)の公刊を契機に、今後の森林サービス産業や森業について考えます。」

ということで、最近刊行した森林サービス産業白書という刊行物の紹介をかねたイベントですね.。(私も購入)

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イベントプログラム)

 開会    動画
○報告    動画
・森林サービス産業をめぐる状況の概要:
土屋 俊幸(林業経済研究所)
資料  動画
・活動フィールドの地理的特徴:
松浦 俊也(森林総合研究所東北支所)
資料  動画
・森林サービス産業の事業類型と課題:
平野 悠一郎(森林総合研究所多摩森林科学園)
資料  動画
・地域の自然と社会に寄り添った組織づくり・体制づくり:
平原 俊 (東京農工大学)       
資料  動画
○パネルディスカッション
「これからの森林サービス産業や森業の発展に向けて」
   動画
   コメンテーター:増山 寿政(林野庁森林利用課長)プレゼン 資料 動画
           柴崎 茂光(東京大学)プレゼン 資料 動画
   パネリスト:八巻 一成(森林総合研究所関西支所)+報告者3名    動画
   座長:土屋 俊幸     
 弊会    動画

イベントのプログラムは左の通り

ネット上に資料や動画が掲載された丁寧なページがあります。

【開催報告】日本森林学会公開講演会(2026年度)「森林のさまざまな空間利用の広がり~森業、森林サービス産業の進展をめざして~」:2026年5月26日開催

、そこからプログラムごとの動画などを張り付けています(このページだけですよー)

緑が4件の報告、黄色パネルディスカッションです。

以下緑の報告を中心に紹介します。

((第一土屋報告=イントロ))

白書のページでいうと、1章と4章を中心に本日のイベントが行われます・・・(と全体の枠組み紹介)

(森林サービス産業とは)

森林サービス産業という言葉がははじめて使われたのは、2018年度国土緑化推進機構による「森林サービス産業(仮称)」検討委員会(林野庁補助事業)です。

「この報告書(2019年3月発行)で、「新たな森と人のかかわり『Forest Style』の創造」を目指す、新たな森林空間の総合利用としての「森林サービス産業が提唱」され」たそうです。

「健康・教育・観光の側面から、総合的に森林を利活用し、民間の力を取り入れながら地域の発展に繋げていこうとする取り組み。」で「全国民が、生涯にわたって森林の恵みを享受することによりウェルビーイングを実現する『Forest Style』創造のための仕掛けとしての「森林サービス産業」だそうです(右の図が参考図)

(森林サービス産業の展開~施策とビスネスの流れ歴史)

先程の報告書(2019年)の後、林野庁では・・・

2020年度〜「森林サービス産業推進地域」の募集・登録→「森林・林業基本計画」(2021年)で「グリーン成長」のための重要施策の1つの方策として「森林サービス産業」を位置づけ。ました

それで、都道府県の施策としても・・・

岐阜県2023年「ぎふ森のある暮らし推進協議会」
長野県2024年「信州森林サービス産業推進ネットワーク」
滋賀県などでも取り組み開始。

ということで、政策は成熟期です

民間企業でも・・・

2000年代以降、森林を場とした様々な新たなアクティビティが普及・・・MTB、トレラン、「フォレストアドベンチャー」、キャンプ(グランピング等を含む)コロナ禍を経てさらに拡大、深化。

新規参入者による、既存の施設等の活用も含めた、様々な取り組みが生まれました。

そして、左の図のように、令和6年度農林水産祭天皇杯(林産部門)で、森林サービス産業をリードされてきた、辻村百樹氏(T-FORESTRY、神奈川県小田原市)が受賞。

つまり:「森林サービス産業」が公的に認められました。

(観光行政のながれ・・・)

観光行政は、リゾート開発といった大規模な観光開発と、サステーナアブルツーリズムという2つの流れがあります。

前者は、比較的富裕層向けの観光レクを推進する動きで、いまでも観光政策の主流化:「観光立国」政策→「国立公園満喫プロジェクト

他方で、後者は、グリーンツーリズム、エコツーリズムのような農家、移住者などによる小規模な事業、あるいは森林公園のような市町村などの公共による観光レク関係の社会資本整備によって一般国民の観光レクを広める動きで、2000年代になってからも、「森林サービス産業」的な地域を軸としたボトムアップ的な観光レク、森林空間利用→「森業」?があります

森林サ―シス産業は後者を後押しする動きです

ここまでで、イントロ、第一報告の紹介終わります。

少し省略した部分もあります、気になる方は資料1動画1をどうぞ

((第2松浦報告:報告活動フィールドの地理的特徴))

森林サービス産業の事例を科学的分析するためにの手法解析・・・、1)利用活動に関するデータ、2)フィールドに関するデータ、3)フィールドの地理的特性把握の三つの側面から検討した結果を紹介しています

1)利用活動は、事例を①点(小面積の林地・特定のスポット等)、②線(山道・トレイル、渓流沿いなど)、➂面(山林内に入り込む活動、景観利用等、④)外部(関連施設・製品等)の4つに分けて、2章に掲載された54事例を分析

2)フィールドに関するデータは、①国や自治体が指定・整備・管理運営に関わるもの ②自然公園とビジターセンター等 ➂レクリエーションの森(国有林内) ④森林総合利用施設のうち宿泊・滞在等に関わるもの の4つに分けて事例分析

3)フィールドの地理的特性把握は関連データを、①広域的な立地特性、②活動のスケール・形態ごとの特徴、➂環境条件の多様性、④所有・管理との関わり、⑤林業活動との関わり、の5つに分けて分析

以上です

54の事例を合理的根拠をしっかり示したかげごりーにわけて、分析をして、まだ緒に就いたばかりの森林サービス産業を目指すプロジェクトを分析し、ビジネス関係者と関係さを支援する、という熱のこもった分析結果です。まだ、途中経過で、アカデミアの方には興味津々だけど、ビジネス関係者には内容が解りにくいもしれませんね。

第2報告の紹介終わります。骨子の紹介だけで、ごめんなさい。特に学術関係者で気になる方は、資料2動画2をどうぞ

((第3平野報告:・森林サービス産業の事業類型と課題))

プロジェクト全体のコアメンバーどである平野さんのコア報告、3つの柱からなっています。

1)森林の訪問・体感利用を収益対象とする森林サービス産業の「事業」は、どのような類型に区分できるか?(第4章第3節)、2):事業運営のポイントとは?(第4章第3節)、3)事業運営にあたっての課題とは?(第4章第5節)

(森林の訪問・体感利用を収益対象とする森林サービス産業の「事業」は、どのような類型に区分できるか?)

第2報告第4報告のベースになる報告ですね

左の図は森林に関する作業の俯瞰図。上が物資利用(木材生産・林産物(商用副産物)採取)で林業、下が訪問・体感利用で森林サービス産業

幅が広い森林サービス産業の科学的検討は大変!!

類型化が必要だが・・・その検討過程で検討したこと

1)•利用活動とフィールドをどこまで踏まえるか=とにかく踏まえるだけ踏まえることにする。
→勿論、それぞれの利用活動やフィールド属性に即した類型化の方が、捉えやすさや妥当性は上がる。

ということで以下の6つに類型化

1林内施設活用型、2ガイド・インストラクター型、3地代収入型、4入山料・入園料型、5イベント型。6屋内施設型7トレイル設置型

2)「フィールドの活用方法」をベースとするか、それとも、「収益構造」をベースとするか。=前者を採用。


3)単独事業か、それとも(林業との連携を含めた)複合事業か。
=第2章の事例紹介では、上記を含めた事業内容を詳細整理。
→複合事業の場合、基幹事業の収入で他の事業運営を賄ったり、マルチタスク前提のスタッフ配備で費用負担を効率化できる。

(事業運営のポイントとは?)

自然や資源の保全、教育、基盤整備、地域活性化を念頭に置いた公共性の高い事業として、助成金などの支援が得られるか?ポイントです

•地域・関連主体との連携の重要性

→特定地域において、好相性の他事業、他業種(宿泊・飲食・エネルギー供給、アウトドア製品販売等)との連携は勿論のこと、同業であっても認知度の向上や利用者の拡大といった相乗効果が現状期待できるかどうか、ポンとです

(事業運営にあたっての課題とは?)

•最大の課題=安全・リスク管理です!

その理由は・・・・1:森林サービス産業のフィールド利用には、自然・人為由来を含む多種多様なリスクが存在します

その中で、安全・リスク管理の責任や義務を果たすべき関連主体が複数に及びます(利用者/事業者/受入者(所有者・管理者等)。

3:そして、その各主体が「どこまでの安全・リスク管理を引き受けるのか」が、日本においては不明瞭な状態に置かれ続けてきました。

=その結果、「何かあったら、自らの責任となる“かも”しれないから、やめておこう」という選択がされやすくなり、森林空間利用のリスクが過大に評価され、森林サービス産業の発展が妨げらていまず

他の国ではこの点について、右の図の左りですが英国では利用者の責任は「行動規範」という形で明示さています。そして事業者の責任も明示され、自然由来のリスクは保険対応(左の緑)わかり易いです

またニュージーランドでは自然リスク人為リスクとも事故補償制度ACCという公的な仕組みがあります。その上、法律で安全配慮義務が課されています。茶色の部分)

以上のように、このプロジェクトで系統的な整理ができ、問題提起もできました。良かったです

第3報告の紹介終わります。省略していますので、気になる方は資料3動画3をどうぞ

((第4平原報告地域の自然と社会に寄り添った組織づくり・体制づくり))

•今回のプロジェクトで、森林サービス産業の先進事例から以下のように、学ぶべきことは多かったです

1)自然資源管理や地域活性化に向けた公共的な役割だとか、2)事業収入の確保等に関する鋭い経営感覚

先行研究が、「環境NGOは組織論が欠如している」と指摘しているので、今回の先行事例からそれに応じたモデルを整理してみました。(左の図です)

、下の白い部分“事業”の領域御中で、先進事例の個々のプロジェクトの新奇性に着目するだけでは不十分っで、

灰色の部分、“経営”の領域までも総合的に捉えることが必要です

特に一番上のミッション:組織が意思決定を行う際の拠りどころとなる目標を指す言葉⇒非営利組織で特に重要、金もうけをするだけではだめです

それが、放っておかれると、公共的役割が果たされないだけでなく、森林サービス産業全体の衰退を招く可能性もあります

第4報告の紹介終わります。省略していますので、気になる方は、動画4をどうぞ

((全体の印象))

以上が4つのプレゼン概要、でそれにそったパネルディスカッションもあるので、関心の有る方は是非動画を参照ください

森林サービス産業白書は、380ページのうち、6割の240ページが第二章事例集です

全国の先進事例を集めて議論し、カテゴリーごとに分類し、どんな場合にうまくゆき、どうしたらダメだったなどなど、明解な提言をしようという意欲の溢れた、学術関係者が行った分析結果の紹介でした

ただ、残念ながら総括的な提言までいたってない、というのが私の印象です

ですから、森林分野の学術関係者で新たなビジネスの拡がりに関心があるかたは、こんなにわかりいテキストはないと思いますので、白書と、動画は是非ご覧ください

また、ビジネス関係者や行政の関係者は、分析手法のプロセスを記載した章は、少し解りづらいかもしれまえんが、第2章の事例集を、是非ご覧になったら参考になりますよ!

【開催報告】日本森林学会公開講演会(2026年度)「森林のさまざまな空間利用の広がり~森業、森林サービス産業の進展をめざして~」:2026年5月26日開催報告】

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